Bonheur Management Consulting

ボヌール マネジメント
コンサルティング

COLUMN
2026.07.30

結果管理ではなく、先考管理へ(第23回)

先考型プロセスマネジメント その1)

― 目標を達成する人と組織は、先に考えて動いている ―

目標を掲げることは、多くの組織で行われています。しかし、その目標を「どうやりぬくか」まで具体的に考え、日々の行動を改善し続けている組織は、決して多くありません。

今回からは、「私たちの流儀」の第三の柱である先考型プロセスマネジメントについて解説していきます。第一歩として、「結果管理」と「先考管理」の違い、そして先考管理がなぜ目標達成に不可欠なのかを考えます。

 

先考型プロセスマネジメントとは何か

これまで、「問題解決マネジメント」では何に取り組むべきかを考えてきました。また、「仕事コミュニケーションマネジメント」では、組織の中でどう力を合わせるかを考えてきました。

これに対して、「先考型プロセスマネジメント」は、目標に向かってどうやりぬくかを追求するマネジメント手法です。

目標を立てるだけでは、成果は生まれません。また、実行を部下や現場に丸投げし、結果が出てから助言するだけでも、目標達成は困難です。

大切なのは、目標から逆算し、基本計画を立て、実行計画と行動の仮標準をつくり、現場情報を絶えず確認しながら改善し続けることです。私はこの考え方を、先考管理と呼んでいます。

よくあるPDCAは「結果管理」になっていないか

多くの職場でPDCAという言葉は使われています。しかし実態を見ると、結果が出た後での改善「結果管理」になっていることが少なくありません。

上司は部下に目標や課題を与える。しかし、「どう進めるか」は部下任せにする。しばらく様子を見て、結果が出る頃になってから助言する。

一見すると、部下に考えさせているように見えます。しかし、部下は進め方の勘所を知らないまま、ビジネスの悪路に放り出されている可能性があります。

結果が出てから慌てて助言するのではなく、結果が出る前に、先を読み、リスクを予測し、打ち手を準備しておく。これが、結果管理と先考管理の大きな違いです。

ビジネスは平らな歩道ではなく、山道や悪路である

平らに舗装された歩道を歩くとき、私たちは一歩一歩に細かく注意を払わなくても進めます。転ぶリスクが小さいからです。

しかし、山道や悪路を歩くときは違います。石があり、木の根があり、ぬかるみがある。足元を間違えれば転倒します。そのような道では、先を見て、足元を確認し、一歩一歩の置き方を考えながら進む必要があります。

ビジネスも同じです。顧客がいて、競合がいて、社内外の利害関係者がいます。市場環境も変わり、人の感情や組織の都合も絡みます。

つまり、ビジネスは多くの場合、平らな歩道ではなく、山道や悪路に近いのです。だからこそ、どこでつまずきやすいか、どこに危険があるか、どの順番で進むべきかを、事前に考える必要があります。

先考管理は、実は誰もが日常で行っている

先考管理というと、少し難しい言葉に聞こえるかもしれません。しかし、私たちは日常生活の中では、ごく自然に先考管理を行っています。

たとえば、午前11時から大阪で会議があるとします。そのためには、何時に新大阪駅に着く必要があるか。何時の新幹線に乗るべきか。品川駅には何時に着いておくべきか。自宅を何時に出るべきか。朝食はどうするか。駅で迷うリスクや電車遅延への余裕はあるか。

このように、私たちはゴールから逆算して、小さな到達点を設定し、リスクも考えながら行動しています。これが先考管理です。

つまり、先考管理は特別な才能ではありません。誰もが日常生活では実行している、ごく自然な実行手法なのです。

問題は、仕事に意識して応用できていないこと

ところが、日常生活では自然にできている先考管理を、仕事では十分に活用できていないことが少なくありません。

目標は決まっている。納期も決まっている。しかし、そこに至るまでの小ゴールが曖昧。リスクの予測も不十分。必要なリソースも見えていない。途中で確認すべきポイントも決めていない。

その結果、最後の段階になって問題が表面化し、慌てて対策を打つことになります。これでは、本人の自信も、周囲の機会も、貴重な時間も失われてしまいます。

先考管理とは、こうした失敗を防ぐために、仕事の進め方そのものを事前に設計する考え方なのです。

先考管理型PDCAの基本姿勢

先考管理型PDCAの基本は、ゴールからの逆算です。

目標を実現するために、まず大まかな筋書きとしての基本計画を考える。次に、具体的な実行計画と行動の仮標準をつくる。その中で、リスクやボトルネックを予測し、予防策を計画に織り込む。そして、現場情報を確認しながら、実行前・実行中に行動仮標準を改善し続ける。

つまり、先考管理型PDCAは、結果が出てから反省するだけのPDCAではありません。結果が出る前に、先を読み、仮説を立て、行動を改善していくPDCAです。私はここに、目標達成のための大きな鍵があると考えています。

先考管理を身につける意味

先考管理を身につけると、目標達成の確率は大きく高まります。

目標達成までの道筋が見える。途中で起こりそうな問題を予測できる。必要な準備や支援を早めに整えられる。そして、部下やメンバーと同じ道筋を共有しながら進めるようになる。

個人にとっては、成果を出す力が高まります。組織にとっては、目標達成の再現性が高まります。リーダーにとっては、部下を成功に導きながら育成する力が高まります。

先考管理とは、単なる計画作成ではありません。目標に向かって、個人と組織を確実に前進させるための実行管理の技術なのです。

まとめ

結果管理は、結果が出てから考えるマネジメントです。先考管理は、結果が出る前に考え、備え、改善するマネジメントです。

私たちは日常生活では、すでに先考管理を行っています。しかし、それを仕事や人生の重要な目標に意識して応用できている人は、まだ多くありません。

目標を本気で達成したいなら、必要なのは気合いや根性だけではありません。ゴールから逆算し、リスクを読み、行動を仮標準化し、実行しながら改善し続けることです。

先考管理を身につけることは、自分が目指す場所へ確実に近づくための力を身につけることです。

次回は、先考型プロセスマネジメントの第一ステップである「基本計画の策定」について、さらに具体的にお話ししていきます。

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