上司と部下の間にある“距離”や“壁”は、日常のちょっとしたコミュニケーションの質に大きく左右されます。その要となるのが、報告・連絡・相談──いわゆる「報連相」です。本稿では、「報連相の型」を組織内に定着させることで、信頼と学びの“共創土壌”をつくる実践法をご紹介します。
上司が忙しすぎて報告できない、悪い報告が後回しになる、報告のタイミングも内容もバラバラ──多くの現場で、こうした声が聞かれます。私自身も「吉本さんが席にいないので相談できない」「順番待ちが長くて報告を諦めた」など、部下の悩みに直面しました。
そのたびに思い知らされました。「リーダーである私が、報連相のボトルネックになっている」と。
報連相が大事だというのは、どの職場でも言われます。しかし、「報連相の具体的な型」を共有している職場は、意外と少ないのではないでしょうか。
そこで私は、自分自身がボトルネックになった経験を機に、「報連相の型」を一つずつ組織の中に設計してきました。
事故やトラブルなど、悪い情報は優先的に上げるという文化をつくります。ただし、私のチームでは、さらに前段階の「ヒヤリハット」の共有を重視しました。
ヒヤリハットは誰でも起こし得るもの。だから責めない、咎めない、むしろ改善の材料にする、このことを徹底しました。
そうした安心感の中でヒヤリハットは共有され、多くの改善のテーマとなって組織力の底上げに繋がっていきました。
ある程度まとまった業務を依頼する際は、「まず2時間考えたところで、初回報告してもらう」ルールを導入しました。この時点でリーダーと方向性をすり合わせることで、部下の時間の無駄を防ぎ、手戻りを減らすことができます。
リーダーはこの“すり合わせタイミング”を、最初の指示とセットで伝えることが重要です。
部下が30秒で必要事項を簡潔に伝える訓練を行いました。理論上は、5分で10人の報告を受けることができ、実際、私自身も非常に効率的な報連相を体感しました。
そのうえで、追加の情報はリーダーが質問することで聞き出す。これにより、リーダー自身が自分の時間をコントロールできるようになります。
この「30秒報連相」が習慣化されると、組織のコミュニケーションは一気に効率的かつ活力あるものに変化していきます。

今回ご紹介した3つの取り組みは、一つひとつは小さな工夫かもしれません。しかし、これらを型として共有し、地道に続けていくことで、組織全体の報連相の質が確実に向上していきます。
ぜひ、自分たちのチームに合った報連相の型を育ててみてください。それが、“共創できるチーム”の基盤をつくります。
次回は「共創土壌づくり」中編として、“ノウハウを共有知に変える A3フォーマット”の活用についてお話しします。