「任せたいけれど、任せきれない」──。
そんな葛藤を抱えるリーダーは少なくありません。
部下の成長と同時に、上司自身も大きく変わる。その鍵を握るのが、年間目標管理の対話型1on1ミーティングです。
本稿では、共創土壌づくりの仕上げとして、A3フォーマットと連動させた1on1ミーティングが、どのようにチームに“信頼と主体性”を育てるかをご紹介します。
・部下に考えてほしいことを「伝えたつもり」になっていないか?
・「教える=答えを与える」になっていないか?
・「全体像」ではなく「断片」で指導していないか?
育成がうまく進まない背景には、部下の活動が上司に見えていない、または部下の思考に関与できていないという課題があります。
私が実践している目標管理型1on1ミーティングでは、以下の3点を特に重視しています。
① 部下の業務全体像を可視化する
前回ご紹介したA3フォーマットを活用し、部下の業務を俯瞰できる状態に整えます。
また、フォーマットへの記入を通じて、部下が“考えるべき観点”を自然と身につけていく設計にしています。
② 問いかけによって思考を引き出す
上司の役割は、教えることではなく「問いかけて考えさせること」です。
老子の言葉を借りれば、「魚を与えるのではなく、釣り方を教える」。
答えを与えるだけでは、成長の機会を奪ってしまうのです。
③ リーダーの成長の場でもある
部下に適切な問いを投げかけるためには、部下の全体像を把握し、未来を見通す力が求められます。
忍耐と集中、そして深い“聴く力”を磨き続ける必要があり、これはまさに上司自身の成長の鍛錬の場でもあるのです。

このミーティングの肝は、A3フォーマットと1on1対話をセットで運用することにあります。
・フォーマットが部下に思考の材料を提供する
・対話がそれを深掘りし、気づきを引き出す
・上司が部下の全体像を踏まえた“問い”を考え続ける
この往復運動こそが、共創土壌をさらに豊かに育てていく仕組みなのです。


年間目標管理の対話型1on1ミーティングは、単なる業務進捗の確認ではありません。
部下が育ち、同時にリーダーも育つ“実践教育の場”──それがこの仕組みの本質です。
ここまで、「共有土壌づくり」について3回にわたってお届けしてきました。
次回からは、企業全体の組織力をさらに向上させる「協業土壌づくり」についてご紹介してまいります。