問題とは「あるべき姿(目標)と現状とのギャップ」と前回解説いたしました。
企業内にある沢山の問題を正確にとらえるために、
次はそれぞれの問題のあるべき姿(目標)と現状とを把握していきましょう。
あるべき姿(目標)を考える際に大切なことは、いつでも目的とセットで考えることです。
それは、目的を見失わないように、という役割とともに、
もう一つ、組織と個人とを絶えず向上させる目標を設定するうえで、不可欠だからです。
日常用語では「目的と目標」、この二つの言葉の違いは曖昧ですが、
この二つの言葉を峻別することは、私見では最も大切なマネジメントスキルの一つです。
目的は「成し遂げようと目指す事柄で、何故や何のため、という行動の理由や原動力になるもの」。
目標は、「目的実現のためのマイルストーン(一里塚)として、目的実現までの途上のある瞬間の鮮明な状態を表すもの」と定義を区分します。
例えば、目的は英語を活用して仕事ができるようになること。
目標は年内にTOEICで900点とること、という風になります。
この例でもお分かりいただけるように、目的とは「半永久的に」目指していくもの、
目標とは、そのためのある時点での達成水準を意味します。
目的と目標を区分して、明確に定義することによって、
目標は目指すものの「ある時点での具体的な状態」を指すことになります。
さきほどから「あるべき姿(目標)」と一緒に表現してきたのには、こうした背景があります。
ですから、目標とは、必ずある時点という期限と達成水準をもっていなければなりません。
目的と目標を区分することは、
目標に期限と達成水準を必ずもつもの、という役割を明確にします。
では、こうした事例はいかがですか。
「当社の目的は〇〇を通じて社会に貢献すること、目標は今年度末前年比売上・利益10%増」
これほど単純なものではなくても、私もこれに近い事例をいくつか経験したことがあります。
この目標自体がいけない、とは言いません。
でも、この目標を見ただけでは、「この目標を達成したら、
翌年度以降どのように社会に貢献する役割が広がっていくのか」は、分かりません。
目標とは財務目標のこと、または「ノルマ」のことと思っていると
未来を切り開くための今年後目標、という言葉を理解するのは難しいかもしれません。
達成のための知恵が湧き出る目標設定、今年の努力が未来に繋がる目標設定に
ぜひ挑戦してみていただきたいと思います。
目標設定には、これらを可能にする大切なポイントやコツがあります。
次回は、私たちの流儀での目標設定の大切なポイントを説明します。