第4回でお伝えしたように、目的と目標を区別して定義づけることが重要なのは、
達成のために知恵が湧き出るような目標設定、
また今の目標が未来を切り開くような目標設定のためです。
ビジネスにおける目標設定で気になることは、ビジネスとは利潤追求のためのもので、
目標とは売上高や利益などのいわゆる財務目標のことを指し、目標=ノルマとなり、
仕事とはノルマを永遠に追いかけることとなっている企業がまだ散見されることです。
財務目標だけを追いかけることは、この後に説明しますように、
企業の将来のための取組みを怠ることになりかねません。
今の財務目標のために必死に取り組むことが、
自分たちの未来を損なうようなことにならないためにも、
適切な目標設定が大切だと私たちは考えます。
私たちの流儀では、目標設定において2つの大切なポイントがあります。
一つ目は、4種類の目標をいつでも同時に立て、追求することです。
それは、
①売上・利益などの財務目標、
②財務目標を実現するための顧客満足目標、
③絶えず顧客満足度を上げ続けるための仕組み(品質や提供速度、コスト等)の改善・改革目標、
④それを担う社員や働く人たちの学習と成長目標
みなさんには、釈迦に説法ですが、
企業は中長期的な事業の発展、中長期的な財務的成長が一つの目標になります。
この実現のための最大のポイントは、お客様の満足度を毎年向上させること
(あるいはお客さまの数を増やし続けること)です。
このためには、単年度の財務目標だけを追いかけていたのでは不十分です。
昨年よりも今年、今年よりも来年、さらにお客様に満足していただくための取組みに
いつでも取り組んでいかなくてはなりません。
そのためには社員や協力企業の方たちも含めた価値提供に関わる人たちの人財育成と
その人たちが行う業務の仕組みの改善が不可欠です。
従事している人たち一人一人を育成し、さらに仕事の進め方の改善を進めて
今までよりも「より早く」または「より良いものを」または「より安く」
お客様に提供するための取組みを年間財務目標実現と同時に進めることです。
この4つの目標を組織のリーダーがいつでも堅持して取組み続けると、
持続的な業績向上と社員(協力企業含む)の成長や組織の強化をもたらします。
人財育成と仕事の進め方の改善は顧客満足度を継続的に向上させる最大の保証です。
そして顧客満足度の向上とともに、働く人たちの充実度もあわせて向上していきます。
「強い組織が出来ない」「目標が年々高くなって大変」という声が起こってくるのは、
私見ではこの4つの目標を同時追求していないことが原因です。
二つ目は、この4つの目標には必ず「期限と達成水準」を設定することです。
例えば上期末には〇〇を稼働させる、年度末までに△△を完了させる、など。
ここで大切な点は、この達成水準は数値目標に限らないことです。
適切な目標を数値で表現できるならば、それが一番よいですが、
財務目標以外の目標は数値化しにくいことが多々あります。
このときは、「目標は鮮明にor詳細にor定量的(数値化)に」を合言葉に
期限日の状態を写真の画像のように具体的にイメージしてその状態を目指すとか、
顧客のキーパーソンから「さすが〇〇社だね、来年も頼むよ」とのコメントを得るなど、
よい数値化が困難なときは、最もその目標に合致したイメージを見つけ出し、
具体的で最も鮮明なゴール像を皆で共有しながら取り組めるようにすることが目標設定の秘訣です。
あるべき姿(目標)を設定する方法を解説しました。
問題(目標と現状とのギャップ)を客観的に把握するためには、
現状をどのように把握するかが次の課題です。
しかしながら、現状把握は自分たちのことなので、主観的恣意的になりがちで、
実は大変難しい作業です。
次回第6回は、恣意的にならず「地に足をつけた」現状把握の方法を解説します。