今回も本編ではなくサブシリーズの重要用語に関するコラムです。
今回は私の考え方の基礎をなしている「概念」という言葉について説明します。
概念は英語で言うと concept コンセプトです。
よくプランニングやマーケティングで使われる「コンセプト」と同じ単語です。
日本語で「概念」は定義と似たような使われ方をしていますが、
(正確に言うと、概念を日常使う人はあまりいないでしょうが)
英語では単なる定義以上に「全体を貫く基本的な考え」的な意味合いを持っています。
私の考えでは、概念は単なる言葉の意味の説明に止まるものではありません。
もう少し丁寧に言うと、私がライフワークとして学んでいる哲学(特にヘーゲル哲学)における概念とは、
次のような深い意味合いを持っています。
私見では、概念(的な定義)とは、
言葉が本来持っている目指すべき状態を含み(「その名にふさわしい」という使い方)
表面的な最大公約数的な内容ではなく、本質的な深さの内容を持ち
(例:コンビニエンスストアとは、買物後10分以内に消費する日常生活必需品を売る小売店舗*、顧客購買代理業などという把握)*出典 日本リテイリングセンター『必須単語701』
実践や活動全体を俯瞰する視点から定義されたものであり(それゆえに首尾一貫するし、用語が連携し合う)
先人たちの多くの実践に基づいた知恵や工夫が織り込まれていることによって、
具体的で標準的な行動を示唆してくれるもの
と考えています。
もちろんこの要素を全ての重要なビジネス用語の定義が満たしているわけではありませんが、
私自身はこうした概念的定義の考え方に基づいて、
重要な用語の実践的本質的な定義を、先人によく学び、かつ
自分でも実践に基づきながら、作成していきたいと考えています。
「問題とは、あるべき姿と現状とのギャップ」
「目標は、目的へのマイルストーンであり、達成水準と期限が鮮明なもの」
「ビジネスにおける目標は、少なくとも4つの種類の目標を同時に追求すべきもの」
などがビジネス用語における先人たちが作ってくれた概念的定義の事例です。
こうした言葉は、この短い文章の中に、
目指すべき方向性や次の行動のイメージが内包されていて、
リーダーに絶えず行動の指針を与えてくれます。
多くの実践と深い洞察から、
言葉そのものが、あるべき姿を指し示し、次の行動のイメージをもたらし、
ブレることなく行動を導いてくれる力をもっている、
それが概念的な定義です。
このコラムの本編において、こうした考え方に基づいて、
私たちの流儀の重要な用語を一つ一つ解説していきます。
どうぞお付き合いください。