Bonheur Management Consulting

ボヌール マネジメント
コンサルティング

COLUMN
2023.09.04

問題の火元を特定する (第9回)

問題の火元は何か

前回までで、問題とは現状とあるべき姿(目標)とのギャップであること、問題が明確になっても慌てて手を打つのではなく、無数の問題の根源にある原因(真因)を究明して限られた真因にこそ対策を集中すべきであることが分かりました。

真因究明を行う上での最初の取組みが問題の火元はどこかという特定です。

例えて言えば、火事場を検証するときに、火元が台所なのか寝室なのかそれとも通常は火の気がないところなのかによって原因仮説と究明方法とが大きく異なってきます。

ビジネスでも、問題があるときに「何が問題の火元か」を明らかにすることが、真因究明のために不可欠の取組みになります。

この問題の火元を明らかにする際に大切なことは「問題を分解する」ことです。

大きな問題を分解する

発見された問題の多くは、まだ大きくて曖昧な状態であることが多いものです。

例えば営業部門において、今期の営業目標と大きな乖離が生じている主な要因が新規得意先の開発遅れにある、という問題が明確になったとします。新規得意先の開発遅れ、という事実だけでは良い対策は打てません。担当者を叱咤激励してもそれだけではなんの役にも立ちません。

大切なことは、慌てて対策を打つ前に、漠然とした問題を整理して分解して、問題を発生させている火元を突き止めていくことです。

最重要な問題を見つける

最重要な問題=火元を見つけるためには、2つの取組みが必要です。

1つは、層別分析やパレート分析などによる問題の細分化です。営業部門ではパイプライン分析やマトリックス分析なども有効でしょう。後記に私の経験に基づく簡単な事例スライドを添付しましたので、参照してください。

2つ目は、分析しながらも絶えず「現地現物」を貫くことです。分析作業を絶えず現場と結び付けて行うことが適切な細分化を可能にしますし、最重要な問題を発見するうえで最も誤りが少ない効果的な方法です。

事例の紹介

このスライドは私がコンビニ事業のオーナー開発営業を担当していた時の事例をもとに作成しました。

試行錯誤を繰り返しながらも営業活動の仮標準をつくり上げることが出来た頃の事例です。営業活動の仮標準を持つことができたことにより、自分たちの活動の弱点(問題の火元)がより鮮明に分かるようになりました。

(仮標準や仮標準の重要性については今後のコラムで解説します)

どこに火元があるのか

このスライドの事例では、新規オーナー開発を進めていた私たちのチームは、営業プロセスの中で「茶の間プレゼン」と呼んでいたプロセスへの到達活動において計画との乖離が一番大きく発生していたことに気づきました。

このプロセスの活動を細分化していろいろな切り口で整理していくと、30歳代の酒販店店主に対するプレゼン実現率が顕著に低いことが明確になりました。

年代別での層別分析が鮮やかに私たちの活動の弱点を示してくれました。

このように弱点仮説がはっきりと見えてきましたので、このときの私たちはここから真因究明を行い、真因に対する対策を立案することとしました。(この時の真因と真因対策については次回または次々回のコラムでお伝えします)

この事例のように、問題を鮮明にし、さらに細分化して最重要の問題を特定していくことが、適切な真因究明と真因対策のためには大切です。慌てて表面的な問題に手を打っても効果的な対策にはなりません。

以前にもお伝えしましたが、リーダーの方々は逸る(はやる)気持ちを抑えて、火元の特定に取り組み、自分たちにとって一番重要な問題は何なのかを見つけていただきたいと思います。

次回は、火元(=最重要な問題)の真因を究明する方法を説明します。

 

 

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