Bonheur Management Consulting

ボヌール マネジメント
コンサルティング

COLUMN
2023.01.09

問題には手を打つな 真因に対策を (第8回)

対策を急がないこと

前回までの説明で、問題を組織全体で共有するための言葉と手法を入手しました。

目標と現状のギャップから「問題は〇〇だ」とリーダーやメンバーの思いが一致したならば、

次に行うことは何でしょうか。

「問題が分かれば解決したも同然」という言葉もあるくらいなので、すぐにその問題を解消するための対策を実行したくなる気持ちもよく分かります。

即断即決をモットーとする「やり手」のリーダーの方などは、問題が鮮明になるとすぐに部下に解決のための指示を行いたくなることでしょう。

少しだけ待ってください。本当に問題が分かれば正しい対策も同時に分かるのでしょうか。

少し逆説的な表現になりますが、私たちの流儀の視点では、問題が分かった時にすぐ対策を打つことは可能な限り避けるべき行為です。

このことについて、少し説明しましょう。

問題にすぐに手を打つのは組織を疲弊させる危険性が高い

私が存じ上げている多くの魅力的な経営者やリーダーの方と話をしているときに、最も多く語られる悩みは「忙しくて本当にやりたいことに打ち込めない」「部下も精一杯頑張ってくれているが今一つ成果に繋がらない」という多忙さに関連する悩みです。

特に成長過程にある中小企業のリーダーの方に顕著な悩みです。

いろいろなケースがありますが、共通しているのは、リーダーが気づいた問題(およびやりたい課題)に次々に手を打とうとしていることです。

手を打つと言っても、リーダー個人で出来る範囲には限界がありますので、当然部下の方にも次々に指示が下ります。

即断即決の方、リーダーシップが牽引型の方ほど、矢継ぎ早に問題解消の指示が部下の方に飛びます。次々に・・・。

問題は無数にある

ここで皆さんに考えて欲しいのは、組織や職場の問題とはどのくらいあるものでしょうか。

あるべき姿と現状のギャップが問題ですから、大小問わずに指摘しだすと、すぐに数十数百の問題を見つけることが出来ます。

こんなにたくさんの問題をメンバーで分担したとしても解決できると思いますか。

企業や組織の中に、問題は無数にあります。また表面的に問題解決してもすぐに再発するので、きりがありません。

問題つぶしに奔走するとリーダーも組織のメンバーも忙しさに忙殺されますし、それでも次々に再発するので、結局問題を解消することが出来ません。

そして組織全体が疲弊していきます。

タイトルの「問題に手を打つな」というのは、こうした無数にある問題に気づいても、すぐに手を打ち始めてはいけないということです。

リーダーは問題を認識しても、手を打つことを我慢する必要があるのです。

 

対策を打つのは問題ではなく、真因に対して

上記のスライドにあるように、リーダーが向き合うべきものは、無数にある問題ではなく、問題の根元にある(トヨタで)「真因」と呼ばれる根源的な原因に対してです。

この真因への対策を行わず、表面的な対策のみを実行して再発防止が出来るでしょうか。

例えば、部下の作業精度が低いときに、部下への教育を行わず部下の注意不足を注意するだけで再発を予防できるでしょうか。

制度の利用手続きが難解で膨大な手間が必要な仕組みを放置したまま、制度利用者が少ない状態を嘆いて、多くの宣伝費を掛けても、利用者は期待通りには増えません。

部門間の壁が高く経験やノウハウの共有がなされない企業文化に手を打たないまま、全体最適の実現を企業目標としたり、生産性向上をリーダーが叫んでも、状況は改善されません。

再発防止が出来ない対策は(ある意味)時間と労力そして費用のムダになります。

真因が多くの問題の原因

現在起きている問題や事態には必ず原因があります。

上記の教育機会の少なさや手続きが難しすぎる制度などのように過去または現在のリーダーの判断、昔から続いている制度、自部門だけが良ければいいという組織文化などがその一例です。

こうした根源的な原因は、実は多くの問題を発生させています。

よくある例を申し上げますと、

幹部教育の機会が少ないから、管理職のマネジメントのバラツキが大きく、みんな自己流でバラバラ、だから成果創出も個人差が大きく横の連携も悪い、部下の育成方法も知らないので担当者も育たない、結果担当者個々人の営業手法もちぐはぐになり、売上処理もミスが多いなどとつながります。

わずか数個程度の真因

こうした「真因」は私の経験則では、無数の問題がある組織でも通常数個程度です。

ですから、リーダーは問題には手を打つのを我慢して、この真因を究明して、この真因への対策に全力を傾注することが大切です。

わずか数個の真因に対策を集中して実行することで、組織や事業が目に見えて改善されてきます。部下の人たちを不必要に奔走させることもなくなります。

この「問題には手を打つな、真因に対策を」が組織や業務改善の(そしてリーダーシップの)コツです。

問題を把握できるようになることは、すぐに対策を打つためではなく、問題の根元にある真因に正確に迫っていくための(重要ですが)一つのプロセスです。

 

次回は、真因を発見するための、問題の火元の特定と真因の究明方法についてご説明します。

 

 

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