本コラムをお読みいただいている方々の企業や団体にも様々な問題が山積していることと思います。
私も組織人であるときに、問題を列挙してみたことがありますが、100を超えても次から次へと問題を考えつくことに気づいて、それ以上列挙するのを止めた思い出があります。
「うちの会社には問題がいろいろとある」「うちの部署の問題は〇〇だ」と普通に会話で使いますが、では「問題」を改めて定義してみると、どのような定義になると思いますか。
トヨタ式を多少でも学んだことがある人は、この定義(問題はあるべき姿(目標)と現状とのギャップ)をご存知かと思います。
問題とは、不満や上手くいかないことではありません。
もちろん不満や上手くいかないことは問題を発見する上で大切ですが、これらは個人の感情に根差したものです。
ですから、人によって問題と思っていることの中身が実は異なっています。
まずはこうした感情を客観的に整理することが問題解決の第一歩です。
これらの感情は、こうあってほしいという状態を思いながらも、現実がそこに追いついていない状態から発生しているものです。
集団や組織で問題を解決する上で大切なことは、皆で最重要な言葉の定義を共有することです。
同じ日本語同士でも、言葉の意味・定義の理解が違っていたら、協力しあって成果を上げることは困難です。
スポーツにおいて、一つ一つのサインや合図の意味をみんなが正しく理解していなかったら、チームプレーなどは到底成立しないのと一緒です。
問題を解決する上での第一歩が、あるべき姿と現状、この二つをキチンと把握して比較することです。
トヨタ式のこの定義は、物事を分析したり改善するうえで、丁寧に比較することがいかに大切か、を語っています。
比較出来るから違いを発見でき、分析できて改善につなげることが出来るのです。
みなさんは、自分たちの目標や自分たちの現状を簡潔明瞭に語ることが出来ますでしょうか。
私自身も以前は経営活動に従事していながらも、目標というと売上と利益という財務目標、現状も過去の決算数字と社員数、くらいしか語ることが出来ませんでした。
結論から言うと、リーダーがこの頃の私のような低いレベルでは、企業力を強化し、社員を成長させ、社会的な役割を拡大していくことはかなり困難です。
目標を効果的に設定し、現状を客観的に押さえ、問題を明確に把握していくことは、付加価値ある仕事を進める上で、事業と組織を強化していく上で、基本的かつ重要な活動です。
企業と社員を成長させることにつながる問題の把握そしてその解決の仕方について次回以降解説していきます。