限られた時間と資源で最大の成果を出すには、“何に取り組むべきか”を見極める力が必要です。これこそが、問題解決マネジメントの核心です。12回にわたりお届けしてきた「私たちの流儀」の問題解決マネジメント。本稿ではそのエッセンスを振り返り、改めて本質に迫ります。
私たちの時間は有限であり、日常業務や人生には無数の問題が存在します。その中で、根本的かつ少数の問題だけに焦点を絞り、未来を切り開くこと——この姿勢こそが、問題解決マネジメントの基本です。
第4回・第5回・第7回でご紹介したように、問題解決の起点は目的と目標の設定にあります。売上や利益といった短期的な定量目標にとどまらず、企業や事業の持続的成長のための多面的な目標設定が求められます。
たとえば、以下のような目標を明確にし、日常に落とし込むことが重要です:
・顧客満足度の向上と拡大
・業務プロセスや仕組みの改善
・チームメンバー(社内外含む)の育成と自律化
これらを実現することが、結果として売上・利益の継続的向上に繋がります。
勇気をもって多彩な目標設定に挑戦してみていただきたいと思います。
第8回で述べたように、問題解決とは、表面上の問題に手を打つことではありません。「問題には手を打つな、真因に対策を」という姿勢が最も重要です。
目に見える問題がどれほど重大であっても、それが再発する限り本質的な解決とは言えません。焦る気持ちを抑え、現地現物で「なぜ」を繰り返すことが真因究明の近道です。
真因に注力するとは、目に見えない本当の問題と愚直に向き合う姿勢をもつことです。
真因仮説への対策は、数十の表面的な問題を一挙に解決する力を持ちます。遠回りに見える取り組みこそが、もっとも確実な前進なのです。
「私たちの流儀」は以下の3つのマネジメントを統合した独自の実践体系です:
① 問題解決マネジメント
② 仕事コミュニケーションマネジメント
③ 先考型プロセスマネジメント
問題解決マネジメントは、目的・目標をもとに現状を正しく把握し、問題を定義し、真因を究明し、そこに集中的に対策を施すという実践的手法です。
これを身につけることで、どんなに変化が激しく不確実な状況においても、自分たちが“今、何に取り組むべきか”を自力で見極められる力を養うことができます。
次回からは、「私たちの流儀」の中でも特に独創的な「仕事コミュニケーションマネジメント」を解説してまいります。この手法は、問題解決から目標達成までのプロセスを通じて、個人の育成と組織強化を同時に実現するものです。人材の育成と定着が重要課題となっている今、ぜひご期待ください。