Bonheur Management Consulting

ボヌール マネジメント
コンサルティング

COLUMN
2026.07.03

協業土壌づくり 後編:管理職の視点を二段階上げる(第22回)

― 全体最適の視点が、部門を超えた協力を生み出す ―

協業土壌づくりの鍵を握るのは、管理職です。
部門間の壁を低くし、全社最適の協力関係をつくるためには、管理職一人ひとりが自部署だけでなく、部門全体、さらには会社全体の視点で考える必要があります。

今回は、協業土壌づくりの後編として、管理職の視点を二段階引き上げること、そしてそのための時間の使い方について考えてみます。


■ 協業土壌づくりの鍵は管理職である

前回は、「後工程はお客様」という考え方をもとに、部門間・機能間のツナギを改善することの重要性をお話ししました。

ただし、ツナギ改善を本当に進めるためには、現場担当者の努力だけでは限界があります。
部門間の優先順位を合わせること、役割分担を見直すこと、他部門との協力ルールをつくることは、管理職の重要な役割です。

協業土壌とは、組織の壁にとらわれず、全社レベルで協力し合う風土です。
その風土を育てるには、管理職が自部署の代表者であると同時に、会社全体の一員として考え、動くことが欠かせません。


■ 視点を二段階上げる

私は管理職に対して、よく「二つ上の職位の人ならどう考えるか」と問いかけます。

係長であれば部長の視点。
課長であれば役員の視点。
部長であれば社長の視点。

このように、二段階上の視点で物事を見る訓練を続けることで、自部署だけの部分最適から離れ、全体最適で考える力が育っていきます。

自部署にとっては不便に見える取り組みでも、会社全体で見れば顧客満足や生産性向上につながることがあります。
逆に、自部署の成果だけを追いかけた結果、他部門の負担を増やし、全体として効率を下げてしまうこともあります。

管理職には、この全体の流れを見る力が求められます。


■ 管理職の時間配分にも「仮標準」が必要

視点を上げるためには、意識だけでは不十分です。
実際に、全体を見るための時間を確保しなければなりません。

私は、管理職の時間の使い方について、一つの仮標準として「3:5:2」を提案しています。

  • 3割:全社や部門全体のための活動
  • 5割:自部署のミッションを果たすための活動
  • 2割:部下や後輩の育成

多くの管理職は、自部署の目の前の仕事に追われています。
しかし、自部署のミッションだけに時間の大半を使っていては、視点はなかなか上がりません。

管理職である以上、自部署の成果を出すことは当然です。
ただし、それを持ち時間の5割で達成するという意識が必要です。
残りの3割を、全社や部門全体の改善、他部門との連携、横断課題の解決に使う。
そして2割を、部下や後輩の育成に使う。

この時間配分を意識することで、管理職の役割は大きく変わっていきます。


■ 3割の時間が、管理職を成長させる

特に大切なのは、全社や部門全体のために使う3割の時間です。

この時間は、単なる余力ではありません。
管理職自身を成長させるための重要な時間です。

他部門の事情を知る。
全社課題に関わる。
部門を超えた改善に参加する。
自部署の都合だけではなく、会社全体の優先順位を考える。

こうした経験を積むことで、管理職は上位職に必要な視点を身につけていきます。

昇進とは、単に自部署の仕事がうまくできる人が上に上がることではありません。
より広い範囲を見て、多くの関係者の力を合わせ、全体として成果を出せる人が、次の役割を担うのです。

その意味で、全社や部門全体に使う3割の時間は、管理職にとって「上位視点の訓練の場」でもあります。


■ 部下育成のために、2割の時間を使う

管理職の時間配分において、もう一つ欠かせないのが、部下や後輩育成に使う2割です。

部下が育たない、と嘆く管理職の方は多いですが、私見では自分の時間の2割くらいを育成に使わなければ、人財育成は実現しません。

日々の業務の中で、意識してOJTに取り組み、管理職は部下に問いかけ続ける必要があります。

「それはお客様から見てどうか」
「次工程の人は困らないか」
「部門全体で見ると、何が一番よいか」
「二つ上の職位の人なら、どう判断するか」

こうした問いかけを通じて、部下の視点も少しずつ上がっていきます。
そして、教える過程で、管理職自身もまた成長します。

私は、教える人が一番成長すると考えています。


■ 管理職が変われば、部門間の壁は低くなる

部門間の壁は、制度だけでは低くなりません。
管理職の視点と行動が変わることで、少しずつ低くなっていきます。

自部署だけを守る管理職が多い組織では、部門間の壁は高くなります。
一方で、全体最適の視点を持ち、他部門の事情を理解し、自部署の役割を見直せる管理職が増えれば、部門間の関係は確実に変わります。

協業土壌づくりとは、管理職全体の視座を上げる取り組みでもあるのです。


■ まとめ

協業土壌とは、部門を超えて力を合わせる風土です。
その風土をつくる最大の鍵は、管理職一人ひとりの視点を上げることにあります。

自部署の成果を出すだけでなく、全社や部門全体のために動く。
部下や後輩を育てながら、同時に自分自身も上位視点を身につけていく。
その積み重ねが、部門間の壁を低くし、全体最適で協力し合う組織をつくっていきます。

管理職が変われば、協業の質が変わります。
そして協業の質が変われば、組織全体の力も確実に高まっていくのです。

■ 次回予告:「先考型プロセスマネジメント」へ

次回からは、「私たちの流儀」の真髄ともいえる 「先考管理」、そしてそれを実践するための 「先考型プロセスマネジメント」 について解説していきます。

これは、目標を単なる掛け声で終わらせず、達成に向けた最適な活動を事前に考え、試行し、実行し、改善し続けるためのマネジメント手法です。

「どうすれば、最後までやりぬけるのか」
「目標達成のために、個人や組織は何を先に考え、どう動くべきなのか」

こうした悩みを持つリーダーにとって、実践的な指針となる内容です。
ぜひご期待ください。

お問い合わせはこちらから