「信頼関係」や「組織文化」は自然には生まれません。今回は、共有土壌づくりの第一歩として、“リーダーは文化を生み出す存在である”という視点から、事例を交えて考えてみます。
組織における信頼関係や文化、良き習慣は、リーダーが日々の仕事を通じて、意図的に創り出していくものです。今回から3回にわたり、「共有土壌」をどう育てていくか、つまりコミュニケーションの土台をどう築いていくかを考えていきます。
前編では「リーダーは文化をつくる存在であること」、中編では「信頼関係は“聴くこと”から始まること」、後編では「効率的で活力の出る会議の開催方法」について述べていきます。
リーダーは、言葉ではなく、姿勢と行動によって文化をつくります。説明ではなく、誤解の余地なく示された仕事姿勢を、率先垂範して見せることが何よりも大切です。
私自身は「管理職における4つのコミットメント」を指針として、自分にも部下にも求めてきました。
この4つをリーダー自身が体現すること。そして、部下にもできる範囲で挑戦してもらうこと。この積み重ねが、文化となって根づいていきます。
「リーダーの自責の文化」は、組織の心理的安全性とも直結します。問題が起きた時に、まず自分の至らなさを認め、率先して改善に動く姿勢があるかどうか。これが、組織の学習力を左右します。
トップやリーダーが自らの対応不足を明言し、反省と改善を重ねていくことで、部下のミスも共有されやすくなり、組織全体で前向きな意見交換が生まれるようになります。
どんな文化を築くか。それを真摯に考え、地道に実行していくリーダーの姿勢が、共有土壌を形づくっていきます。素晴らしい文化を持つ組織には、必ずその文化を率先垂範したリーダーの存在があります。
次回は共有土壌づくり中編、「信頼関係は話を聴くことから」をテーマにお話しします。